世界初の腕時計を作ったのはカルティエである。
1904年、20代だったルイ・カルティエが、友人の飛行士であるサントス・デュモンに「空を飛んでいる間に、懐中時計を取り出すのが大変だ」という悩みを聞く。
この相談を受け、生まれたのが世界で初めての男性用腕時計「サントス」であった。
1904年に”腕時計”というものを初めて作ったカルティエは、1919年、現代まで変わらず愛され続ける定番の高級時計「タンク」を生み出す。
第一次世界大戦時、タンク(戦車)が猛威を奮っていた。
しかし、パリにその華々しい戦果が伝わるものの、タンクがどんなものかは軍事機密にして分からないようになっていた。
このことから、パリの芸術家たちは”タンクとはどういうものか”をテーマに想像で絵や曲を描いたそう。
そこで凱旋したタンクを見た衝撃がルイ・カルティエにインスピレーションを与え、腕時計タンクは生まれた。
カルティエタンクの形は上から見た戦車をモチーフにしている。
ラグ(ベルトと本体を繋ぐ突起)はそれまで時計本体に取り付けられ本体から突き出す形が一般的だった。これに反してラグと時計本体をはじめて一体化した角形デザインの時計がタンクである。
また、時刻を示す枠は戦車の轍をモチーフにしている。
どんなものでも正解のデザインが出ると、世間はすぐにそれを元にコピーをするように思う。
iPhoneが出たら似た形でスマホが普及したように、MacBook Airが出たらどのpcも楔形でキーボード部分が凹んだシルバーになったように。
角形の腕時計の大部分は、今でもカルティエタンクを源流にしているように見える。
マストタンクはmust「持たなければならない」という意味。
その名に恥じぬほど、どのファッションにも馴染んで使いやすい。
デニムとTシャツに合わせれば、カジュアルを引き締めてくれる。
黒のモード系に合わせれば、手元のアイボリー色がアクセントになる。
スーツに合わせれば手元を柔らかくしてくれる。
LMはメンズでも使いやすいサイズ感。
アイボリーローマンは唯一、マストタンクの生産当初から最後まで作られた色。
生涯で一本だけ腕時計を選べ、と言われたら、間違いなくこれを選ぶ。