蔵前のkakimoriで作成した、オレンジレザーのオーダーノート

初めてエルメスに憧れたのは、思えばあの鮮やかなオレンジ色のレザーからだった。

高校生のころ、ふらり学校を早退しては銀座の高級店や蔵前の職人の店、谷中銀座の横道にある専門店、そんなところを巡っていた。

その後の人生における私の好みが作られたのは、その3年間だったように思う。

職人の手仕事のようなものが好きで、簡素ででも素材の美しさを感じられるものが好き。

時を重ねる方が美しくなっていく、レザーやシルバーやゴールドや時計が好き。

このノートを作ったのはその高校生の時、好きなものを確立していく途中の時期だった。

エルメスのオレンジに憧れながら、流石に手が出ないなと思っていた頃だ。

蔵前にはkakimoriという文房具の専門店がある。

この店の大きな特徴がオーダーノートを作れることだ。

表紙からして本当にたくさんの選択肢がある。

いろんな色のスムースレザー、フィレンツェの伝統技法のマーブル紙を使ったもの、ファブリック素材のもの、デザイナーとコラボしたもの、シンプルなもの。

私が選んだオレンジのシボレザーもその一つだ。

見た瞬間に「あ、エルメスみたい」と思ったのを今でも覚えている。

中の紙も30種類から全部試し書きして選ぶことができた。

さて、ノートに何を書こうと考えたところ”今日あった良いこと日記”にすることにした。

嫌なことは一切書かない。

今日あった良いことを書く。誰に見せるものでもないし、どんなに小さなことでも良しとした。

そしてそこから人生が少しずつ良くなっていった。

正確には、日々起こっている”小さな良いこと”を意識して見つけられるようになったのだ。

何よりも良いのが、落ち込んだ時にこのノートを開くと、日々の良いことがたくさん見つかってとても明るい気持ちになれること。

エルメスみたい、と憧れから始まった関係だが、今となっては10年来の相棒になった。

いろいろな種類の中紙を経て、結局は無地に辿りついた

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こうちゃん

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