20歳、成人まで子を育てる。
親になって初めて、それがどれだけ大変だったのか、そして誇らしい節目だったのかが少しだけ想像できるようになった。(あくまで少しだけ。子はまだ1歳4ヶ月)
このオレンジレザーのキーケースと名刺入れは、成人祝いに母親から貰ったものだ。
「ちょうど良いのが見つかって」
そう言って渡されたとき、好みにドンピシャすぎて「よく分かっているなぁ」と軽く受け取った覚えがある。
今思えば、このモノの好みのうるさすぎる長男に合うものを必死に探し回ってくれたのだろう。
0歳から1歳の”自分一人では寝れない・食べれない・トイレに行けない・お風呂に入れない”など、何もできない生物を育ててきた。
1歳を超えた頃から、だんだんと1人でできることが増えてきた。
これから保育園に通い始めて、どんどんできることが増えていくのだろう。
そうこうしているうちに、親のやれることがなくなっていくのだろう。
そんな子の巣立ちの一つの節目が20歳、成人なのだろう。
もうその頃には、お祝いを贈ったり、「なにかあったら頼れよ」と言うくらいしか親にやれることなんて無くなっているのかもしれない。
今、このキーケースには実家の鍵が入っている。
この度、晴れておじいちゃんおばあちゃんになった両親と孫を会わせる時に現役で使わせてもらっている。
成人の時に親からもらった手紙も、実はこっそり入れてあったりする。