カルティエ トリニティリングと、プレプロポーズの思い出

カルティエ トリニティリング

思い出の品、というのはあるだろうか?

私にとって、一番の思い出の品とはこのトリニティリングのことになる。

“そのモノを見たときに何かを思い出すこと”

こんなふうに「思い出とモノを結びつける」ということを初めて実感を持って教えてくれたのが、このカルティエ トリニティリングだった。

もともと結婚指輪以外の指輪は女性のモノという先入観があった。

男性は、付けても腕時計、ネックレス、ブレスレットまで。結婚指輪以外の指輪はつけないという感じ。

その先入観をスルッと越える”モノとしてのエネルギーの強さ”を持っていたのが、カルティエ トリニティリングだった。

この指輪との出会いは新宿にあるWORLDLY-WISEというヴィンテージショップだ。

机の上にトリニティリングがサイズ違いで6個か7個くらい置いてあったように思う。

不思議な形に惹かれてたまたま手に取って、何の気なしに指に嵌めてみたら、3つの輪っかがクルクルと回りながら指に通り、最終的にスッと収まった。

これが衝撃的だった。

「こんな動きをする指輪があるのか!」とその後15分くらいひたすらトリニティリングをつけたり外したりする怪しい客になっていた。

さすがはヴィンテージカルティエ、即決できる値段ではなくその日は帰った。

次の週末、何年も付き合った彼女が仕事がうまくいかず、今まで一番と言っていいほど落ち込んでいた。

元気づけられるかな?と「実はプロポーズの指輪買ってあるよ」と、プレプロポーズをしてみた。

劇的な効果があった。

そんなに嬉しいんだとこっちが驚くほどにやにやし続けて、喜んでくれた。

その日彼女が帰った後、新宿の店に行き、その日の記念に購入した。

プレプロポーズをとてもとても喜んでくれたという思い出を忘れないよう形にするため、というのが口実だ。

ただ欲しかっただけ、実はほとんど口実のつもりだったが、これが意外や意外、「あの時喜んでくれたよな」とふと思うきっかけになっていたりする。

“モノに思い出をこめる”というのは、自分には向いていたみたいである。

たまたまではあるけれども、この指輪にぴったりなのは右手の薬指だった。


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こうちゃん

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